ブックタイトルshimotsukebook

ページ
13/16

このページは shimotsukebook の電子ブックに掲載されている13ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

shimotsukebook

戦うならば互角である〉との思いがある。互角ならば、遠国からの遠征軍よりこちらは有利。まずは脅威の〝鉄砲隊?を無力化する。雲見を徹底させて雨の予想の前夜に炊煙に気を遣い、夜半に飯を炊いた。かくして雨の確信を得て早朝に狼煙を上げた。しかし敵も名将、夜半の炊煙を見抜いていた。城から打って出ると読んでいたのだ。いよいよ総攻撃となったそのとき、狼煙に応えて鉢の木山と岩場からサッと幟が立ち並び、気勢が挙がった。翻る幟に敵陣営は〝援軍?と思い込み兵を分けた。かくして敵の別動隊が雨の中一気に攻め込んできた。だがそこは砦も岩場も何と〝もぬけの殻?だった。幟が木々に縛られ風に揺らいでいるのみ。「これは罠だ!」砦に攻め入った敵将も気づいて一気に引き返す。さあ、この隙に高岡勢は果敢に動く。雨の中、満を持して研ぎ澄ませた気力を集中させ一気に城内から打って出た。多くの兵で攻め込んだはずの敵も鉄砲の使用を押さえ込まれ、兵糧を奪われ、兵を分断されて戦いでは互角になってしまった。「狙うは敵本陣、大将首ひとつ!」高岡軍の猛進・猛迫。鍛えられた軍馬の動き。遠征軍とは兵たちの鋭気が違う。一直線に駆ける。あれよ、あれよという間に敵本陣に及び、大将の馬回りと槍を合わせた。そこに砦と岩場から幟だけを立てて戻った精鋭が、多くの兵を装って鉦かねと太鼓で敵陣の裏側から攻め入った。ここで敵の士気は完全に落ちた。乱れにみだれ、壊乱して退いた。一旦乱れた隊列は整わず、勢いのある高岡勢に追われて這々の体で領国に帰った。(それからつぅのは、若い高岡の殿さまを侮り、攻め入ることはなかったんだとよ)(那須塩原市・方言作家)67