ブックタイトルshimotsukebook

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概要

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素早く飛び跳ねる単独いなごもとれるようになりましたから。「かまきりをつかんじゃった」いつのまにか元気になった光君は、お友達と大きな声で話しています。おにぎりが楽しみなんでしょうか。「いただきます」小川のそばの土手に腰を掛けて、おにぎりをほおばりました。小さく切ったのりを隙間なくはりつけた黒い丸いおにぎりです。光君の大好物です。でも、右利きのはずの光君が左手でおにぎりを持っています。どうしたのでしょう。右の手のひらがこげ茶色になっています。さっき、小川で洗ったのにとれませんでした。原因は、いなごです。逃げないようにしっかりと握ったせいで、いなごの口からわき出てきたこげ茶色の液体が、手のひらや指にくっついたのですね。やはり光君の手の中は苦しかったようです。いなごとりが終わって、生徒たちはようやく学校へ戻りました。裏の調理室の大きな釜の中にぐらぐらとお湯が沸いています。その中にいなごは入れられました。そのあと、いなごがどうなったのか、幼い光君は知りませんでしたが、むしろの上で天日干しにされて、それから売られたのです。そうです、鶏のえさになったり、つくだ煮になったりしたようです。「これは、みんながとったいなごを売ったお金で買ったのですよ」先生が言いました。新しい幻灯機です。光君は、にこにこしました。幻灯機を使った先生のお話の時間が大好きでしたから。だから、おかあさんから、勉強がすきと言われたとき、ほっぺたをふくらませたのですね。(塩谷町・戸村医院院長)23