ブックタイトルshimotsukebook

ページ
8/16

このページは shimotsukebook の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

shimotsukebook

縁あって先頃、一冊の機関誌に出会った。栃木県内の教師たちで構成する栃木県連合教育会が発行している「下野教育」である。カラフルな表紙の右上にある数字に驚いた。誇らしげに「明治十七年創刊」とあるのだ。明治十七年といえば今から百三十年も前。帝国憲法発布が五年後であり、学校令公布も二年後。世の中が維新後で混沌としている中、栃木県でこんな冊子が誕生し、しかも現在まで生き続けているとは。宇都宮市にある教育会館内の栃木県連合教育会事務局を訪ねた。新沼隆三・連合教育会会長の言葉にさらに驚いた。「創刊号からずっと保存されていますよ」。会長室の書棚にある数箱の古びた整理箱。その一つに創刊号は第一〇号までの冊子とともに収まっていた。青色の表紙はさすがに百年を越える時代を物語るように色あせて茶色がかっているが、しっかりと原形を保っている。縦十八センチ、横十二センチのポケット版。表紙には「下野私立教育會雑誌」「下野私立教育會」とあり、六十ページほどの薄い紙には大きな活字で総会や集会の報告、論説などが掲載されていた。新沼会長によると、冊子の体裁はその後も何度か変わったが、創刊時から機関誌として全会員に配布され続けているという。明治三十三年(一九〇〇)、題名は三一号から「下野教育」に変わり、延々と現在まで続き、最新号の平成二十五年六月発行の七四三号に達している。何と息の長い機関誌だろう。その歩みは時代の激しい波の中で、教育者たちと教育界の揺れ動く姿をそのまま映し出しているといえる。新沼会長、現在の「下野教育」の編集を担当する手塚英男・連合教育会文化部長、さらに保存されている資料から時代の流れを追うとー。創刊号の発行母体である下野私立教育会は明治十七年に発足。「新しい時代になって教育の普及、進歩のために教育者たちはその義務を果たすべきだ」と、教育界の有志が全国組織の大日本教育会を結成したのを機に、当時の県都・栃木町にあった栃木県師範学校や下都賀郡などの教員らが中心になって生まれた。機関誌の発行も決めた。社会の大転換に「教育こそすべてこころの文化遺産?こころの文化遺産?影山榑三雄?ふ?み?お?影山榑三雄?ふ?み?お?24明治十七年創刊の「下野教育」創刊当時の「下野私立教育会雑誌」。右端の色の変わっているのが創刊号百三十年間、栃木の教育を刻んで28